SSブログ

ハロゲン化ブチルゴム中国アンチダンピング税 [海外]

中国政府は、4月下旬に輸入するハロゲンブチルゴム(タイヤのインナーライナー部に使用される、空気を洩れないようにするゴム、かつてはブチルゴムであったが、現在はブロモブチルゴム(ハロゲンブチルゴムの一種)が主に使われている)に大幅なアンチダンピング税を課税すると仮決定(正式には今年夏に決まるがそのため、即日に保証金を積んで輸入しろということ)と発表がありました。その内容がわかりました。
US品は、EXXONMOBIL品、その他品は66.5%課税、EU品はEXXONMOBIL品は63.7%課税、ARLANXEO(LANXESS)品は30.9%課税、シンガポール品はARLANXEO品は26.0%、その他(EXXONMOBIL品)は66.5%、
日本品、ロシア品、カナダ品は対象外です。

現在中国ではハロゲンブチルゴムは4社が生産しており、その生産量は年84200トン、一方年211400トン輸入されており、中国での使用量は年29万トン前後、輸出はほとんどなし。です。
一方輸入は、USA(EXXONMOBIL品)から30%、シンガポール(ARLANXEO品)から23%、ロシアから14%、ベルギー(ARLANXEO品)から11%、カナダ(ARLANXEO品)から11%、日本(JSR-EXXONMOBIL品)6%、サウジアラビアから5%です。
よって輸入が60%ぐらいを占め、その輸入品の60%ぐらいにアンチダンピング税がかけられます。特にEXXONMOBIL品に66%も課税されます。今年はシンガポールにEXXONMOBILのブチルゴム工場が完成しますが、これにもアンチダンピング税66.5%かかることが決定しています。

これは中国と米国の政治的なケンカです。特にEXXONMOBILを憎んでいるようにも見えます。ちょっと前の米国国務長官(外相)がEXXONMOBILのCEOだったからでしょうか?中国品は生産コストが高いので、それに合わせろということか、それにしてもアンチダンピング税率が不明瞭です。よくわかりません。
結果は中国の外資系タイヤメーカーと一部国産系のタイヤメーカーの原料コストが上がり、タイヤが値上がりになるだけです。それにしても66%の課税は不可解です。
これが中国です。

中国商務省の発表詳細、アンチダンピング税の検討過程の説明は http://images.mofcom.gov.cn/trb/201804/20180419102311442.pdf にあります。

これを読んでみると、2014年から2017年にかけて、輸入品が増えて、国内販売価格が大幅に下がった。それで国内メーカーが損害を被ったという風に読めるが、実際には国内ハロゲンブチルゴムの工場は完成したが、運転がうまくゆかず、稼働率は50%にしかならず、そのため生産コスト、販売価格が高かった。そこに需要が増えて、輸入品がたくさん輸入された。その価格は国際相場価格であり中国国内販売価格より安かった。と考えるのが普通ではないか? 中国の合成ゴムのコンサルタントも同じ考えであった。

halogenbutylChinaantidumpingduty4-19-2018.jpg


nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。